Illustratorのターンテーブルは、「自分が描いた1枚のイラストが、まるで3Dモデルのようにあらゆる角度から見られるようになったら…」そんなクリエイターの夢を叶える、とんでもない新機能です。
1枚の2Dイラストから様々な角度のバリエーションを自動生成できます。この機能を使えば、従来手作業で作成していたキャラクターを、AIの力で効率的に作成することが可能になるかもしれません。
今回は、注目されているこの機能について、その詳細と基本的な使い方を、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。
Illustrator ターンテーブルとは?革新的な3D風変換機能

Illustratorのターンテーブルとは、1枚のベクターイラストを元に、AIが様々な角度からの見た目を自動で生成してくれる革新的な機能です。この機能を使えば、正面のイラストさえ用意すれば、スライダーを動かすだけでキャラクターが回転し、好きな角度のイラストを簡単に出力できます。
Illustrator ターンテーブル機能の主な特徴
- 正面のイラスト1枚から複数角度を自動生成
- スライダー操作で直感的に角度調整が可能
- カメラアングル(見下ろし・見上げ)の変更も対応
- ベクターデータ専用(JPEG・PNG等は使用不可)
Illustrator ターンテーブルを使用するための準備条件

この画期的な機能ですが、現時点(2025年8月現在)ではIllustratorのベータ版のみに搭載されています。正式版にはまだ実装されていないため、「そんな機能、見たことない」という方がいても無理はありません。
ベータ版インストール方法で Illustrator ターンテーブルを利用開始
Illustratorのターンテーブルを使用するには、以下の手順でベータ版をインストールする必要があります。
- PCで「Creative Cloud」デスクトップアプリを開きます
- 左側のメニューから「アプリ」を選択し、その中の「ベータ版アプリ」カテゴリをクリック
- 一覧の中から「Illustrator (Beta)」を見つけ、「インストール」をクリック
- インストールが完了すれば、この機能をすぐに試すことができます
Creative Cloudのアプリのインストール方法については、Adobe公式ヘルプページで確認できます。
Illustrator ターンテーブルの使い方を徹底解説

では、早速この機能の実力を見ていきましょう。ここでは、猫のキャラクターイラストを例に、基本的な使い方を解説します。
Illustrator ターンテーブル Step1: イラスト準備とグループ化
まず、回転させたいイラストを用意します。ここで非常に重要なポイントが2つあります。
ベクターデータであること: この機能はベクターデータ専用の機能です。JPEGやPNGなどの画像ファイル(ラスターデータ)には適用できないので注意してください。
オブジェクトをグループ化しておくこと: イラストを構成する全てのパーツ(目、鼻、輪郭など)を選択し、事前にグループ化しておく必要があります。
操作方法:
- イラストの全パーツを選択した状態で、メニューバーの「オブジェクト」→「グループ」をクリック(ショートカットキー: Ctrl+G / Command+G)
Illustrator ターンテーブル Step2: 機能適用の実行方法
準備ができたら、いよいよ機能を適用します。

操作方法:
- グループ化したイラストを選択した状態で、メニューバーの「オブジェクト」→「ターンテーブル」をクリック
- この操作は、オブジェクトを選択した際に表示されるプロパティパネル内の「ターンテーブル」ボタンからでも実行可能
- クリックすると「複数のビューを作成中」というメッセージが表示され、AIによる生成が開始
この機能による生成は通常のAI生成機能よりも少し時間がかかることがありますが、時短できる効果を考えればわずかな待ち時間です。
Illustrator ターンテーブル Step3: バリエーション作成とカスタマイズ

生成が完了すると、オブジェクトの下に「コンテキストタスクバー」が表示されます。
回転操作:
タスクバーにあるスライダーを左右にドラッグしてみてください。すると、イラストが回転します。
カメラアングル変更:
- 下の矢印: イラストを下から見上げる「ローアングル」
- 上の矢印: イラストを上から見下ろす「ハイアングル」
バリエーション作成:
「この角度のイラストが欲しい!」というアングルが決まったら、タスクバーの「表示を挿入」ボタンをクリック。その角度のイラストが新しいベクターオブジェクトとして作成されます。
Illustrator ターンテーブル使用時の注意点と制限事項
この機能は非常に直感的で完成度の高い機能ですが、実際に使ってみていくつか注意すべき点もありました。
Illustrator ターンテーブルでの色味変化について

Illustratorのターンテーブルで生成されたイラストでは、元のイラストと色味が若干変わってしまうことがあります。今回の猫のイラストの例では、元々クリーム色だったお腹の部分が、生成後は真っ白になってしまいました。
AIによる生成の特性上、ある程度の色の変化は発生するため、最終的には生成されたオブジェクトの色を手動で修正する必要があるかもしれません。
Illustrator ターンテーブルの情報欠落と表示乱れ

AIは元のイラストに描かれていない情報を完璧に推測することはできません。例えば、猫の後ろ姿には本来あるはずの「しっぽ」が生成されませんでした。
また、意図しない小さなオブジェクトが生成されるなど、細かな表示の乱れが見られることもあります。
Illustrator ターンテーブルの回転制限
スライダーを動かすと360度くるくると回るように見えますが、実際の生成範囲は-120度から120度までです。そのため、完全な「真後ろ」の姿を生成することはできません。
まとめ:Illustrator ターンテーブルでクリエイティブワークを革新
今回は、Illustratorベータ版の革新的な新機能を詳しく紹介しました。
Illustratorのターンテーブルを使えば、2Dのイラストを、まるで3Dモデルのように直感的に扱うことができます。この機能は、クリエイターが作成したオリジナルの成果物を元に、AIがその展開をサポートしてくれる、非常にポジティブなAI活用事例です。
現在はベータ版の機能ですが、これからさらに進化し、改善されていくことでしょう。正式版のリリースが今から待ち遠しいですね。
この新機能の登場により、Illustratorを学ぶことの重要性は、ますます高まったと感じます。ぜひ皆さんもベータ版をインストールして、この未来的な機能を体験してみてください。
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